自動車のいろいろな部分に使用されているベアリングですが、足回りに使用されているベアリングである「ハブベアリング」の異音の原因、寿命、交換費用などについて説明していきます。
ハブはホイールを取り付ける部分の部品、ベアリングとは、機械を動かすときに発生する摩擦を軽減するための部品のことを言います。
このハブに使用されているベアリングがハブベアリングです。
ハブベアリングはホイールがスムーズに、安定して回転できるようにするための非常に重要な部品です。
駆動輪のハブベアリングはドライブシャフトを支える役割も担っています。
ここに異常があると「ゴォー」という音や、「ゴロゴロ」といったような音が出ます。
ベアリング内部には多数の金属のボールがあり、タイヤの回転と同じく高速で回転しますので、少しずつ摩耗してしまいます。
ボールが摩耗して隙間が増えることで異音の原因になったりガタがでてしまいます。
通常、異音は時速50キロを超えたあたりから車内に響きはじめますので低速で異音がしている場合は他の部分に異常があるかもしれません。
カーブなどでハンドルを回すと音が小さくなったりする場合は前輪のハブベアリングの異常、音が変わらない場合は後輪の可能性が高いと判断できますので参考にしてみてください。
ベアリングの寿命についてですが、それぞれの車の管理状態、運転の仕方、タイヤの状況によって変わります。
足回りにいつも負担がかかるような特に太いタイヤであったり、
路面を掴み込むハイグリップタイヤを使用した場合などには、ベアリングの寿命も短くなります。
またFF車の場合は前輪がエンジンの駆動を伝える役割があること、ハンドルの舵取りの役割があること、という両方の任務があるためにベアリングにかかる負担はが大きくなる傾向になります。
さらに車高を落としている車はドライブシャフトの角度が変わるので、それによってハブベアリングに負担がかかり摩耗を早めます。
ローダウン車にかぎらず、大きなホイールに交換している車やホイールスペーサーを入れている車も高負荷になりますので要注意です。
ベアリングの内部は、グリースで満たされています。
この潤滑にさせるためのグリースが劣化することにより、金属の接触面が十分に保護されずに内部のボールが摩耗してしまいます。
グリースの劣化の原因は高回転、高負荷時の熱、予期せぬ水の侵入、経年劣化です。
ベアリングの内部に異常が起きたまま走行を続けていると、ベアリングの寿命がさらに短くなりますし、さらに放っておくとベアリングを取り付けているハブ本体をを傷めてしまいます。
ハブベアリングの交換は本来、異音などの症状が出る前におこなうのが理想ですが、なかなかそれも難しいと思います。
異音やハンドルを切ったときの違和感などを感じた場合は、できるだけ早く整備工場などで点検を受けましょう。
一般的には10万キロ以内では大丈夫ですが、車種によっても寿命は異なります。
もともとベアリングが小さい軽自動車やコンパクトカー、設計的にベアリングが比較的劣化しやすい車種もあるので思ったよりも早く劣化するケースもあるのです。
車には回転部分を支えるところにベアリングをよく使っています。
ハブベアリングが代表的なものです。
それ以外にも、ストラットのアッパーマウント、フライホイールのパイロットベアリングやミッション内部のベアリング、デファレンシャルにもベアリングが使われています。
ベアリングのメンテナンスは、洗浄、傷を確認、問題なければベアリンググリスを入れ替えるという内容で、昔はメンテナンスを頻繁にすることになっていました。
今でも大型トラックなどのハブベアリングは分解したら毎回ベアリンググリスを交換しています。
ハブベアリングの異音を放っておくと、ベアリングの摩耗が進む→隙間からグリースが漏れる→さらに摩耗が進むという悪循環になり最終的には破損、粉砕されてホイールを支えられなくなってしまいます。
大げさではなく、事故につながりますので早めに点検、交換をしましょう。
ハブベアリングの交換は難易度が高いので、修理は交換に慣れたメカニックに依頼しましょう。
ハブベアリングの交換費用ですが、種類によって金額は大きく変わります。
ベアリング単体での金額は数千円~と高価ではありませんが、交換の難易度によって工賃が大きく変わります。
また、ベアリング単体での部品供給がなく、ハブのアッセンブリー交換になある場合があり、この場合は価格も高くなります。
特殊な工具が必要ではなく、簡単に交換できるタイプで片輪1万円~、特殊な形状で部品代も高価な場合だと片輪で10万円程度掛かることもあります。
交換には専門の知識が必要ですし、車種ごとに締め付けトルクなど重要な事項が決められていますので自分で交換にチャレンジするのはリスクが大きいので避けましょう。
異音や異常がを感じたらすぐに点検に出さないと、他の箇所にも影響が出て、高額な修理が必要になります。
たまにはオーディオやテレビを消して、車からの音に注意する時間を作るといいかもしれません。