「フロアAT(FAT)」「コラムAT(CAT)」「インパネAT(IAT)」という言葉を聞いたり見たりしたことはありませんか?
ATの前に付いている単語はシフトレバーの設置場所を示すもので、AT車以外でもシフトレバーの位置は車種により異なります。
「フロアシフト」「コラムシフト」「インパネシフト」の特徴について説明します。
フロアシフトは運転席と助手席の間のフロア(床)にシフトレバーが付いたものを指します。
フロアシフトはもともとMT(マニュアルトランスミッション)車ばかりだったころの名残りです。
現在ではFF車が主流ですが、以前はFR車が一般的で、エンジンの後ろにミッションが配置されており、その真上にシフトレバーを設置するとフロアシフトになります。
ATでもMTでもシフトチェンジを行うにはシフトレバーからリンケージを介してミッションを操作する必要があったので、最も効率的な配置だったわけです。
その代わりに、フロアシフトは運転席と助手席の間にシフトレバーがあるため、運転席と助手席の移動や、前席・後席間の移動が困難になるという欠点があります。
コラムシフトは、ワイパーやウインカーのスイッチレバーがあるハンドルの根本付近(ステアリングコラム)にシフトレバーが付いたものです。
ミッションから離れた場所にレバーがあるのでミッションとレバーはワイヤーで繋がっています。
シフトレバーがハンドル付近にあり、運転席と助手席の間に邪魔なものがなくなって空間が広くなるので、タクシーなどの商用車やミニバンで普及しました。
フロアにシフトレバーがないのでベンチシートを採用し、普通車や一部高級車でも『ベンコラ』と略され80~90年代に流行しました。
インパネシフトは、エアコンのスイッチやインダッシュ型のカーナビが付いているインパネ(「インストゥルメント パネル」の略)にシフトレバーが付いたものです。
インパネシフトは、フロアシフトとコラムシフトの中間的な性質を持ち、コラムシフトよりはシフトポジションが把握し易く、
シフトレバーがあまり邪魔にならない位置にあるのでフロアシフトよりも空間を広く使えます。近年では多くの車が採用しています。
機械式ミッションから電子制御式ミッションへと進化したおかげで、ミッションを直接操作しなくてもスイッチでギアチェンジが可能になったことで普及しています。
また、スイッチで変速ができるようになったことでステアリングの裏側にパドルシフトという前進ギアを任意に変更できる機構も同時に増えています。