今回は、ガソリンエンジン車に搭載されているイグニッションコイルとは何か?また構造、寿命、交換費用についてわかりやすく説明していきます。
ガソリンエンジン車にはイグニッションコイルが搭載されています。
イグニッションコイルは、エンジンの燃焼室内に滞留しているガソリンと空気が混ざった混合気を燃やすために火花をつくるために、電気を供給する部品です。
混合気を燃やすためにはバッテリーが供給する12Vの電圧を約30,000Vの電圧にする必要があるのですが、このボルトの変換の役割を担っているのがイグニッションコイル。
混合気を燃やすために必要な火花はスパークプラグから出されますが、火花を発生させるための電圧はイグニッションコイルからケーブルを通じてスパークプラグに伝わります。
このようにイグニッションコイルはガソリンエンジン車に搭載が必要な部品であり、ディーゼルエンジン車は火花を発生させなくても混合気を燃やすことができますので、イグニッションコイル、スパークプラグは搭載されていません。
イグニッションコイルには、機械式タイプとダイレクトイグニッションタイプがあります。
機械式タイプのイグニッションコイルは低年式車に採用されており、1次コイル、2次コイル、コアという構造を成しています。
1次コイルはイグナイターを通じてバッテリーと接続されており、ECUがイグナイターのスイッチの電源を入れる状態にして1次コイルに電流を流すのです。
その後、1次コイルに巻かれているコアが電磁石となり、ECUがエンジンの点火タイミングを察知するとイグナイターのスイッチを切る状態に切り替えます。
そうすることで1次コイルの電流が止まり、連鎖的に1次コイルに流れていた電流が止まりますので、コアは電磁石ではなくなるのです。
コアが電磁石でなくなると、同じコアと設置されている1次コイルが電磁誘導により高電圧が発生。この高電圧がスパークプラグに伝わり、エンジンに点火させるのです。
ダイレクトイグニッションは、これまでの機械式点火システムに代わり研究されてきた電気式点火システム。
ダイレクトイグニッションは機械式点火システムと比較すると、部品点数が少ないうえに、燃焼の効率が良いため、燃費性能や出力・トルクの向上が実現できます。
ただダイレクトイグニッションは部品が高価であり、エンジンの近くにイグニッションコイルがあるため劣化が早いことは免れませんが、現行のガソリンエンジン車は、ダイレクトイグニッションを採用しています。
イグニッションコイルの寿命は、普段の車の使い方によって異なりますが、おおむね10年が目安です。
エンジンを始動させる回数、車の走らせ方、エンジンの熱量などによって、その寿命は短くなることもあれば長くなることもあります。
なぜならイグニッションコイルは、エンジンを回転させるための重要な部品ですので、あなたの車の乗り方によって寿命が左右されるのです。
もしイグニッションコイルが不調になると、エンジンがかかりにくかったり、アイドリングの回転が不安定になる場合があります。
また走行中に加速してもエンジンが吹けないという症状が出てくる場合もありますし、最悪の場合はエンジン警告灯が点灯するときもあるのです。
そのまま走り続けると走行にも支障をきたす場合がありますので、車の不調を感じた場合はすぐに整備工場で点検を受けてください。
そこでイグニッションコイルの点検・交換をしてもらうと同時に、スパークプラグの点検もしてもらいましょう。
スパークプラグはイグニッションコイルの交換よりも安く済みますので、まずはスパークプラグを交換してもらってから症状の様子をみるのも1つの方法です。
イグニッションコイルの交換作業は、ディーラーはもちろんのこと、一般の整備工場、オートバックスなどのカー用品店などで行なってもらうことが可能です。
作業してもらうところによって交換費用は異なりますが、4気筒で5ナンバーのコンパクトカーの場合は、イグニッションコイルが4本、交換費用を合算すると40,000円ほどの費用を見積もっておくといいでしょう。
この金額より安く済ませたい場合は、一般の整備工場やカー用品店で作業してもらうことをおすすめします。
ディーラーでの作業は費用が高くなるため、安く済ませたい方にはおすすめできませんが、費用が高い分、安心感が違います。
ディーラーは自社の車の構造を最も理解していますので、イグニッションコイルだけでなく、スパークプラグを含めた周辺の機関も合わせて点検してくれる場合がほとんどです。
また点検を受けたディーラーにイグニッションコイルやスパークプラグといった部品の在庫がなくても、他の店舗やメーカーからすぐに融通してもらえるので、比較的スピーディーに故障した部品を交換してもらうことができます。
イグニッションコイルは走行にも直接影響を与える部品ですので、不具合・故障を感じた場合はすぐに点検・交換してもらいましょう。