車のサーモスタットについて説明します。サーモスタットとは何か?仕組みや寿命。気になる故障の予兆や症状や交換費用についても分かりやすく。
車のエンジン部分ではガソリン燃焼が起きているなど、車体を動かすためにエンジンは非常に高い温度に達しているのをご存じでしょうか。
車で走行し終えたあとボンネットを開けると、ボンネットそのものが熱くなっていたり、ボンネットを開けた瞬間に熱気が襲ってくる経験をされたこともおられると思います。
エンジンが高温になりすぎると車がオーバーヒートを起こしてしまい、最悪の場合はエンジンそのものが使用不能になってしまのです。
オーバーヒートを防ぐために、車にはエンジンを冷却する「冷却水」や、冷却水を低温に保つための「ラジエーター」が搭載されています。
ただラジエーターはエンジンを始動させた直後のように、エンジンが低温の状態の場合は作動する必要はありません。
言いかえると、エンジンが低温のときは冷却水を、ラジエーターを通さずに循環させたほうが効率いいのです。
そこで重要な役割を果たしてくれるパーツがサーモスタットです。
サーモスタットはエンジンを適温に保っている冷却水が、ラジエーターで冷却しなければならないほど高温になっているかを判断し、適温でない場合のみラジエーターに冷却水を送るしくみになっています。
サーモスタットは車にとって重要な部品であるとお分かりいただけるでしょう。
一般に利用されているサーモスタットはバルブ式構造のものが多く、冷却水の温度が低い状態のときはバルブが閉じ、冷却水の一定の温度になるとバルブが開くしくみになっています。
ラジエーターで適した水温まで下がれば、バルブは閉じて再度冷却水を循環させていくのです。
このようにサーモスタットは温度変化で開閉するしくみになっており、エンジンを含め、ラジエーターなど他の機関と連動しながら効率よくエンジンの冷却を行なっています。
サーモスタットの寿命は、使用開始から10年または100,000kmといわれています。
多くの方がご存じであるタイミングベルトと同じ寿命であると認識していただければいいでしょう。
つまりタイミングベルトを交換するときに、合わせてサーモスタットを交換することをおすすめします。
また、ウォーターポンプやラジエーター本体、ホースなど水回りのメンテナンスをおこなうときには同時に交換するのがよいでしょう。
ただ寿命については車の使用環境により大きく差が出ますので、あくまでも目安としてお考えください。
サーモスタットが故障する予兆・症状はおもに3つあげられます。
1つめは、メーター内にある水温計の警告灯が点灯することです。
水温計の警告灯はエンジン温度が高くなりすぎていることを示すものですので、そのまま走行し続けるのは危険ですから、車を安全なところに停車させ、エンジン温度が低くなるまで待ちましょう。
エンジン温度が下がれば整備工場で点検を受けてください。
水温計の警告灯が点灯した場合は、その他に冷却水漏れ、ウォーターポンプの故障、ラジエーターファンの故障、最悪の場合エンジン本体の故障などが考えられます。
2つめは、前述の水温計の警告灯の点灯に加えて、オーバーヒートを起こすことです。
オーバーヒートを起こすとエンジンそのものが使用不能になる可能性がありますので、水温計の警告灯が点灯した場合は、早めに点検・整備をしてもらいましょう。
3つめは、オーバークールを起こしてしまうことです。
サーモスタットが故障すると、冷却水の温度に関係なく冷却水の入れ替えが行なわれるため、エンジンが暖まらない症状を起こしてしまいます。
しかしエンジンは暖まることを前提に設計されていますので、エンジンが暖まらないことはエンジンにとっても良くありませんし、エンジンが冷えた状態でエンジンの回転数を上げるのは、エンジンに大きな負担を与えることになるのです。
このようにサーモスタットがする際の予兆や症状を知っていただくことで、早めの処置を行なうことができるでしょう。
サーモスタットは車にとって重要な部品であることから、交換費用は高額になると思われがちですが、サーモスタットの部品代は3,000円前後、冷却水が2Lで3,000円前後、パッキンとOリング代が500円前後ですので、おおよそ6,500円前後でサーモスタットの修理は可能です。
気になる工賃も5,000円前後ですので、サーモスタット交換にかかるすべて費用は12,000円前後であるといえます。
もちろん車種によって交換費用は大きく異なり、とくに輸入車は部品代が高くなるため、サーモスタット交換費用は高くなる傾向にあるのです。
しかしエンジンがオーバーヒートを起こしてしまうと、数万円から数十万円の費用が必要になりますので、前述のサーモスタットの故障の予兆や症状を把握していただいて早めの交換をおすすめします。
だからといって自分で交換するとなると大がかりな作業になるうえ、工具からそろえていかなければなりませんので、整備工場に交換を依頼したほうが賢明です。
今回の記事を参考に、サーモスタットの交換時期を見計らっていただき、エンジンがオーバーヒートを起こす前に交換しましょう。